ヤコブ・セーダーグレン – THE GUILTY/ギルティ

いやー面白かった。

警察官のアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)はある事件を機に現場を離れ、緊急通報司令室のオペレーターとして勤務していた。交通事故の緊急搬送手配などをこなす毎日を送っていたある日、誘拐されている最中の女性から通報を受ける。

個人的にはスリラー+ちょっとヒネったホラーであるように思った。
化け物が暗闇からウワァー!!とかそういう感じではなく、ヒエッそういうことか…みたいな感じ。

シチュエーションが固定されてるのも好み。
低予算だからというのもあるだろうが、だからこそ工夫が凝らされてるし、潔い。

ところで、ジェイク・ジレンホール主演でリメイクが進行中らしい。
低予算ではなくなるだろうが、どうなるやら?
(「デイ・アフター・トゥモロー」のせがれ役、トンデモSFの方の「ライフ」など)

というわけで以下ネタバレ。

観終わったあとタイトルを見返すと、なんとなく意味がわかるように思う。

主人公が正義感から行動しているのは間違いないのだが、だんだんと常軌を逸してくる。
序盤は観客も「この主人公が知略で犯人を追い詰めるに違いない」と思っているので、主人公のやることを支持すると思うのだが、ストーリーが進むにつれ独善的なところが目立ち始め「あれ、こいつなんかおかしいぞ…?」と思うようになるはずだ。

音しか、電話しか情報源がないのに、前科持ちの前夫を犯人と決めつけていた。
たぶん観ている側もそうだったと思う。

主人公はルールを無視し、元上司に越権行為を依頼してみたり、元相棒に飲酒運転と不法侵入を強要させる。
犯人を脅し、思い通りにならないと立腹して物に当たる。
膝を怪我したという緊急通報を無下に扱う。
普通のアクション映画だったら「はみ出し者の熱血刑事!」と好意的な扱いだったはずだ。

と、クライマックスに向かって盛り上がってきたところで、いきなり冷水をぶっかけられる。
観客は主人公に対し「なんだこいつ…」と感じるかもしれないが、それは同時に観客自身にも向けられている。
正直「やられた!」と思った。

いやでも、あれはしょうがないよね…と擁護してしまうのも恐ろしいし、さりとて「お前が悪い!」と主人公を責めることもできない。
もはや黙るしかない。

主軸のストーリーと平行して、主人公がやったことも明らかになっていく。
「明日の件で…」「明日の裁判の件で…」「明日の証言の件で…」「明日の偽証について…」と段々内容が明らかになっていくのも上手い。

…というところで、タイトル「Guilty(罪)」になるわけである。
犯人を追い詰めているようで、決めつけ、思い込み、独善の怖さを突き付けられる。
(SNSにおける炎上にも同じようなことがあるように思うが、それはまた別のお話)

それにしても電話の音ってそれだけでも怖いよね。
なんつーか、電話によってもたらされる良い用件ってなくない?

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